未来のエネルギーを、もっと自由に。薄型太陽光パネル(フレキシブルパネル)が切り拓く可能性

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未来のエネルギーを、もっと自由に。薄型太陽光パネル(フレキシブルパネル)が切り拓く可能性

脱炭素ブログ

2025/11/21 未来のエネルギーを、もっと自由に。薄型太陽光パネル(フレキシブルパネル)が切り拓く可能性

 

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、太陽光発電は私たちの暮らしに欠かせないクリーンエネルギーとして急速に普及しています。

しかし、その一方で、従来の太陽光パネルには「重さ」と「形状の制約」という大きな課題がありました。

 

「自宅の屋根が古くて、重いパネルを載せる耐荷重が心配だ」

「工場の屋根が折板(せっぱん)屋根で、設置が難しいと言われた」

「デザイン性の高い曲面の屋根に設置したい」

 

こうした理由で、太陽光発電の導入を諦めていた方も多いのではないでしょうか。

その常識を覆す可能性を秘めているのが、今回ご紹介する「薄型太陽光パネル(フレキシブルパネル)」です。

 

1.薄型太陽光パネル(フレキシブルパネル)とは?

薄型太陽光パネルは、その名の通り、従来の太陽光パネルとは一線を画す「薄さ」と「柔軟性」を最大の特徴とするパネルです。

<従来のパネルとの決定的な違い>

私たちが一般的に目にする太陽光パネルは、「結晶シリコン系」と呼ばれます。これは、シリコンの基板(セル)を強化ガラスやアルミフレームで強固に保護した構造です。高い発電効率と耐久性を誇る一方で、以下のような特徴がありました。

  • 重い: 1枚あたり約15kg20kg。面積(㎡)あたり約12kg18kg
  • 硬い: ガラスで保護されているため、曲げることはできない。
  • 厚い: フレームを含めると3cm5cm程度の厚みがある。

 

これに対し、薄型太陽光パネル(フレキシブルパネル)は、発電層そのものが薄い膜(フィルム)で構成されていることが多く、基板にも樹脂や薄い金属などが使われます。代表的なものに「CIGS(シグス)系」や「アモルファスシリコン系」などの薄膜技術が用いられます。

この構造により、従来のパネルとは正反対の特徴が生まれます。

  • 軽い: 製品にもよりますが、面積(㎡)あたり約3kg5kg。従来の1/3以下の重さです。
  • 曲がる: しなやかな柔軟性を持ち、製品によってはロール状に巻くことも可能です。
  • 薄い: 厚さはわずかmm程度2.5mm4mmなど)。

この「軽い」「曲がる」「薄い」という3つの特性が、太陽光発電の設置場所の制約を劇的に解放する鍵となります。

 

<なぜ今、注目されるのか?>

薄型パネル自体は新しい技術ではありませんが、近年再び大きな注目を集めています。その背景には、再生可能エネルギーの導入目標達成に向けた「設置場所の枯渇」という問題があります。

平らで丈夫な屋根はすでに設置が進んでいますが、目標達成のためには、これまで設置が難しかった場所にも導入を進める必要があります。耐荷重の低い屋根、工場の広大な折板屋根、ビルの壁面、さらには曲面構造物など、「残された建物」を開拓する技術として、薄型パネルへの期待が高まっているのです。

 

2.【徹底解説】薄型太陽光パネルの7つの特長(メリット)

薄型パネルがもたらすメリットは多岐にわたります。その革新的な特長を7つの側面に分けて詳しく見ていきましょう。

 

<メリット1>圧倒的な「軽さ」が建物への負担を最小限に

最大のメリットは、その「軽さ」です。

前述の通り、従来のパネルが㎡あたり12kg以上あるのに対し、薄型パネルは3kg5kg程度と、約1/3以下の重量です。

これは、建築物にとって何を意味するのでしょうか?

それは、「耐荷重」のクリアです。

  • 古い木造住宅: 建築基準法が改正される前の古い住宅や、経年劣化により屋根の強度が心配な場合でも、この軽さなら設置できる可能性が広がります。
  • 大規模な工場・倉庫: 「折板屋根」と呼ばれる金属製の波板屋根は、それ自体の強度はあっても、広大な面積に従来の重いパネルを多数設置するのは耐荷重計算上、困難なケースが多くありました。軽量パネルなら、そのハードルを越えられます。

「重いから載せられない」という太陽光発電導入の根本的な障壁を取り除く力が、この軽さにあります。

 

<メリット2>『曲がる』柔軟性が設置の常識を変える

フレキシブルパネルという名前の通り、その「しなやかさ」も大きな武器です。従来の硬いガラスパネルでは物理的に不可能だった場所への設置を実現します。

  • 曲面屋根: ドーム型スタジアム、体育館のかまぼこ型屋根(蒲鉾型)、円筒形のタンクやサイロなど。
  • デザイン性の高い建築物: デザイナーズ住宅や公共施設の複雑なカーブを持つ屋根にも、パネルを沿わせて設置できます。

これにより、建物のデザイン性を損なうことなく、太陽光発電を組み込むことが可能になります。

 

<メリット3>設置場所の自由度が格段に向上

上記「軽さ」と「柔軟性」の結果として、設置場所は爆発的に広がります。

  • 耐荷重制限のある屋根全般(古い家、工場、倉庫、体育館)
  • 曲面構造物(ドーム、タンク)
  • ビルの壁面: 軽量なため、壁面に貼り付ける形での設置も容易になります。
  • カーポートの屋根: 一般的なカーポートの屋根材(ポリカーボネートなど)にも、重量の負担をかけずに設置できる製品があります。
  • 農業用ハウス(ビニールハウス)

これまで太陽光とは無縁だと思われていた場所が、すべて発電所に変わる可能性を秘めています。

 

<メリット4>設置工事コストの削減

従来のパネル設置では、重いパネルを支えるための頑丈な「架台」と呼ばれる金属フレームを屋根に固定する必要がありました。また、場合によっては屋根自体の「補強工事」が必要になることもあり、これが初期費用を押し上げる一因でした。

薄型パネルの場合、製品や工法によっては、架台が不要な「接着工法」(専用の接着剤や両面テープで屋根材に直接貼り付ける方法)が採用できます。

  • 架台の費用が不要になる。
  • 屋根の補強工事が不要になる可能性が高い。
  • パネル自体が軽いため、搬入や設置作業が容易になり、人件費(工数)が削減できる。

これにより、トータルの導入コストを抑えられる可能性があります。

 

<メリット5>高温時の出力低下が比較的少ない(製品による)

太陽光パネルは、一般的に温度が上昇しすぎると発電効率が落ちるという特性があります(特に従来の結晶シリコン系)。真夏の直射日光でパネル表面が高温になると、想定よりも発電量が下がるのです。

一方、薄型パネルに用いられるCIGSなどの薄膜系技術は、結晶シリコン系に比べて高温時の出力低下が少ないという特性を持つものがあります。日本の高温多湿な夏において、安定した発電量を維持しやすいという点は、隠れたメリットと言えるでしょう。

 

<メリット6>影の影響を受けにくい(製品による)

従来のパネルは、パネルの一部(例えば一枚のセルの半分)に電柱や落ち葉の影がかかると、パネル全体の発電量が大きく低下してしまう「ホットスポット現象」という弱点がありました。

薄型パネルの中には、セルの構造やバイパスダイオードの設計を工夫することで、一部が影になっても全体の出力低下を最小限に抑える「耐陰性(たいいんせい)」に優れた製品があります。都市部のビル影や、複雑な屋根形状で影ができやすい場所でも、効率的な発電が期待できます。

 

<メリット7>:多様な用途への展開(オフグリッド)

その軽さと柔軟性から、建築物以外への応用も進んでいます。

  • モビリティ: キャンピングカーの屋根、船舶(ヨット)のデッキ、トラックの荷台。
  • アウトドア: 登山用バックパック、ポータブル電源との組み合わせ。
  • IoTデバイス: 山間部のセンサーや監視カメラの独立電源。

電力網(グリッド)から独立した「オフグリッド」電源として、防災用途やレジャー、産業用途など、多彩な分野での活躍が始まっています。

 

3.知っておきたい注意点(デメリット)

多くのメリットを持つ薄型パネルですが、導入検討にあたっては、従来のパネルと比較した際の注意点も正しく理解しておく必要があります。

 

<デメリット1>変換効率(面積あたりの発電量)

「変換効率」とは、太陽光のエネルギーをどれだけ電気に変換できるかを示す数値です。

一般的に、薄型パネル(薄膜系)は、従来の結晶シリコン系パネル(特に単結晶)と比較すると、この変換効率が低い傾向にあります。

  • 従来の高性能パネル:変換効率 20%23%
  • 薄型パネル:変換効率 15%18%程度(製品による)

例えば、設置可能な屋根面積が非常に限られている場合、少しでも多くの電気を作るためには、変換効率の高い従来のパネルの方が有利になるケースもあります。

ただし、この差は技術革新によって年々縮まっており、薄型パネルでも高い効率を謳う製品が登場しています。

 

<デメリット2>耐久性・寿命

従来のパネルは、強固な強化ガラスとアルミフレームによって、発電素子(セル)が物理的に強力に保護されています。メーカー保証も25年以上の出力保証が付くのが一般的です。

対して薄型パネルは、表面がフッ素樹脂フィルムなどでコーティングされています。もちろん耐候性・耐久性は考慮されていますが、ガラスに比べると物理的な衝撃(例:大きな飛来物)や摩耗に対する耐性は未知数な部分もあります。

製品によって耐久性や保証年数は異なります。従来のパネル同様の長期保証(例:25年出力保証)を提供するメーカーもあれば、より短い保証期間(例:10年)の製品も存在します。導入時は保証内容をしっかり比較検討する必要があります。

 

<デメリット3>コスト

メリット4で「設置工事コストは削減できる可能性がある」と述べましたが、パネルそのものの価格(kW単価)については、どうでしょうか。

薄型パネルは、まだ従来のパネルに比べて市場規模が小さく、特殊な製造技術を要するため、kWあたりのパネル単価が割高になる傾向があります。

導入検討時は、

  • パネル本体の価格
  • 架台の有無、補強工事の有無を含めた設置工事費

これらを合計した「トータルコスト(初期費用)」で比較することが重要です。

「パネルは高いが工事費が安い」薄型パネルと、「パネルは安いが工事費(架台・補強費)が高い」従来型パネル、どちらがトータルで得になるかは、設置する建物の状況によって異なります。

 

 

4.【国内】薄型太陽光パネルの主要メーカーと製品

では、日本国内において、どのような企業が薄型・フレキシブルパネルを牽引しているのでしょうか。従来の住宅用大手メーカーとは少し異なる、専門性の高い企業が中心となっています。

 

<注目メーカー1>株式会社電巧社

  • 主要製品: 「フレキシブルソーラーG+
  • 特徴:
    • 超軽量・超薄型: ㎡あたり3kg4kg、厚さ2.5mm4mmというスペックを誇ります。
    • 接着工法: 独自の接着工法(特許出願中)に強みを持ち、屋根に穴を開けない施工が可能です。これにより防水面でのリスクを低減し、工事費も抑えられます。
    • 実績: 工場の折板屋根や防水層が施された陸屋根(ビルの屋上など)への設置実績を伸ばしています。耐荷重制限で設置を諦めていた事業者から高い支持を得ています。

 

<注目メーカー2>株式会社SILFINE JAPAN(シルファインジャパン)

  • 主要製品: FINE-FLEX(ファインフレックス)」
  • 特徴:
    • 日本市場向け設計: 「日本国内のメーカーとして日本市場に最適な製品を設計・製造」している点を強みとしています。
    • 軽量・低反射: ㎡あたり3kgという軽量性に加え、表面に防眩処理(光の反射を抑える処理)を施し、都市部での「光害(反射光による眩しさ)」リスクを低減しています。
    • 施工の多様性: 特許取得の接着工法に加え、従来の架台設置にも対応しており、多様な設置環境に柔軟に対応できます。

 

<技術の牽引役>出光興産株式会社 / ソーラーフロンティア株式会社

  • 技術: CIGSCIS)薄膜太陽電池
  • 特徴:
    • ソーラーフロンティアは、長年にわたりCIGSCIS)薄膜太陽電池の製造・販売を手掛けてきた、この分野のパイオニア的存在です(現在は出光興産の100%子会社)。
    • CIGS技術は、薄膜系の中でも変換効率が比較的高く、高温特性や耐陰性に優れるという特長があります。
    • 現在、ソーラーフロンティア自体は事業構造の転換を進めていますが、親会社の出光興産はCIGS技術の研究開発を継続。特に「軽量・フレキシブル」な特性を活かし、宇宙用途(人工衛星用電源)など最先端分野での開発を牽引しています。
    • これらの企業が培ってきた基礎技術が、現在の商用フレキシブルパネルの発展を支えています。

 

5.設置に向いている建物・場所の具体例

最後に、薄型太陽光パネルがその真価を発揮する具体的な設置シーンを見ていきましょう。もし、あなたの建物がこれらに当てはまるなら、導入を検討する価値は十分にあります。

  • 耐荷重に不安がある「古い建物」の屋根
  • 30年以上の木造住宅
  • 旧耐震基準(1981年以前)の建物
  • スレート瓦(コロニアル)屋根で、強度が心配な場合

「リフォームするにも費用がかかるし、太陽光は無理だろう」と諦めていた屋根にも、軽量パネルなら設置できる道が開けます。

 

  • 広大だが強度が低い「工場・倉庫」の屋根
  • 折板(せっぱん)屋根: 金属製の波板屋根は、面積は広いものの、従来のパネル設置に必要な強度計算が厳しいケースが多発していました。
  • 陸屋根(ビルの屋上)の防水層: 従来のパネルは重いコンクリート基礎を置く必要がありましたが、接着工法なら防水層を傷めずに設置可能です。

企業のBCP(事業継続計画)対策や、電気代削減(特にデマンド値の抑制)の観点から、工場の屋根への設置ニーズは非常に高まっています。

 

  • 形状が特殊な「曲面・複雑な屋根」
  • 体育館、ドーム型施設
  • かまぼこ型(蒲鉾型)の屋根
  • デザイン性の高いカーブを持つ公共施設や商業施設

建物の形状に沿って「貼り付ける」ことができるため、景観を損ねずに発電設備を導入できます。

 

  • 設置スペースが限られる場所
  • カーポートの屋根: 車を守るだけでなく、発電所としても機能させることができます。
  • マンションやアパートのベランダ: 手すり壁や隔て板(パーテーション)に設置する事例も出てきています。
  • ビルの壁面: 南向きの壁面を有効活用できます。

 

  • オフグリッド(独立電源)が求められる場所
  • 山小屋、農作業小屋
  • 仮設住宅、防災倉庫
  • キャンピングカー、船舶(ヨット、ボート)

電線を引くのが難しい場所での貴重な電源として、また、災害時の非常用電源として、その軽さと可搬性が活かされます。

 

6.まとめ:常識を打ち破り、未来の選択肢を広げる技術

薄型太陽光パネル(フレキシブルパネル)は、従来のパネルが持つ「重さ」と「形状の制約」という常識を打ち破る、革新的な技術です。

確かに、変換効率や耐久性、コスト面でまだ課題が残る部分もあります。しかし、それらを補って余りある「設置場所の圧倒的な自由度」は、他のどのパネルにもない強力な魅力です。

重要なのは、「適材適所」の考え方です。

限られた面積で最大限発電したいなら、高効率な従来型パネル。

耐荷重や形状の問題で設置を諦めていた場所なら、薄型パネル。

これまで「うちでは無理だ」と思っていた方も、この記事でご紹介したような専門メーカーに一度相談してみることで、解決策が見えてくるかもしれません。

 

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