【自家消費型太陽光】メンテナンス費用の相場とは?

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【自家消費型太陽光】メンテナンス費用の相場とは?

脱炭素ブログ

2025/12/22 【自家消費型太陽光】メンテナンス費用の相場とは?

「電気代の高騰対策として、自社の屋根に太陽光発電を導入したい。しかし、導入後の維持費で結局赤字になるのではないか?」

 

昨今、エネルギー価格の上昇や脱炭素社会へのシフトに伴い、多くの企業様からこのようなご相談をいただく機会が急増しています。

かつて主流だった「売電型」から、作った電気を自社で使い切る「自家消費型」へとトレンドが大きく移行する中で、導入後のランニングコストの構造も変化しています。

今回は、自家消費型太陽光発電を導入する際に知っておくべき「ランニングコスト」を徹底解説します。

 

1.「売電型」よりも低コスト? 自家消費型特有のコスト構造

結論から申し上げますと、自家消費型太陽光発電は、売電型と比較してランニングコストを低く抑えられる傾向にあります。しかし、それは「何もしなくて良い」という意味ではありません。

 

1-① 売電型と自家消費型の決定的な違い

従来の「売電型」は、FIT制度(固定価格買取制度)を利用して利益を生み出す「投資商品」としての側面が強い設備でした。そのため、以下のようなコストや手間が発生していました。

売電メーターの管理:検定有効期限ごとの交換費用が発生

会計処理:売電収益は雑収入や事業所得となるため、税務処理が異なる

定期報告の義務:FIT法に基づき、発電実績や定期的な報告が求められる

一方、「自家消費型」はあくまで「電気代削減のための設備」です。

売電を行わない(あるいは余剰売電のみの)場合、売電用メーターの管理や、電力会社との煩雑な手続きの一部が簡素化されます。発電した電気は自社設備で消費されるため、送電ロスも少なく、エネルギー効率の面でもコストメリットが出やすいのが特徴です。

 

1-② それでも発生する「3つの維持費用」

構造がシンプルとはいえ、機械設備である以上、経年劣化は避けられません。

自家消費型太陽光において予算化しておくべきランニングコストは、大きく以下の3点に分類されます。

  1. メンテナンス・点検費用
  2. 保険費用(動産総合保険・賠償責任保険など)
  3. 機器交換費用(パワーコンディショナ等の更新)

甘く見積もると、「電気代は下がったが、突発的な修繕費でキャッシュフローが悪化した」という事態になりかねません。

 

2.義務化された「法定点検」の内容と費用(電気事業法・再エネ特措法)

太陽光発電を導入する際、最も注意しなければならないのが「法律で定められた点検義務」です。これは経営者の判断で選べるものではなく、コンプライアンスの問題となります。

 

2-① 「50kW」が運命の分かれ道(電気事業法)

工場や倉庫、オフィスビルの屋根などに設置する場合、システムの出力規模が「50kWを超えるかどうか」が、ランニングコストを大きく左右します。

 

【出力50kW未満(低圧連系)の場合】 

区分:一般用電気工作物

義務:電気主任技術者の選任は不要。ただし、後述する再エネ特措法(旧FIT法)に基づく事業計画認定を受けた場合は、保守点検が義務付けられる

コスト感:比較的安価ですが、自主的な点検計画の策定が必要

 

【出力50kW以上(高圧連系)の場合】

区分:自家用電気工作物

義務:電気主任技術者の選任(または外部委託)が法的義務となる。また、保安規程を策定し、産業保安監督部へ届ける必要あり

コスト感:必須の固定費が発生

 

2-② 電気主任技術者の外部委託費用(50kW以上の場合)

50kW以上の設備(多くの中規模以上の工場や事業所が該当)では、自社で電気主任技術者を雇用するか、外部の電気保安協会や電気管理技術者協会などに保安管理業務を委託する必要があります。

この費用相場は、設備の規模(キュービクルの有無や変圧器の容量)によりますが、太陽光発電設備単体で見ても年間数十万円〜100万円程度の固定費を見込む必要があります。

 

【主な実施内容】

月次点検:毎月(または隔月)、外観検査や運転状況の確認、電圧・電流の測定を実施

年次点検:年に1回、停電を伴う精密な検査(絶縁抵抗測定、接地抵抗測定、保護継電器試験など)を実施

多くの企業様では、「既存の受変電設備(キュービクル)の保安契約に、太陽光発電設備の点検項目を追加する」という形で契約を見直し、コスト上昇を抑える工夫をされています。

 

2-③ 全設備対象の「再エネ特措法(旧FIT法)」による義務

2017年4月に施行された改正FIT法(現在は再エネ特措法)により、10kW未満の住宅用太陽光であっても、自家消費型太陽光であっても(認定条件による)、適切な保守点検が義務付けられました。

 

経済産業省・資源エネルギー庁のガイドラインには、以下のような項目が明記されています。

  • 柵・塀の設置(立ち入り防止)
  • 標識の掲示(責任者の明示)
  • 定期的な点検と記録の保存

これらを怠り、指導・改善命令に従わない場合、最悪のケースでは認定取消などのペナルティが科せられる可能性があります。「売電していないから関係ない」という認識は非常に危険です。

 

3.発電量に直結する「メンテナンス・清掃」の重要性

「法的な義務だから点検する」だけでなく、「発電量を最大化してコスト削減効果を高める」という姿勢でのメンテナンスも重要です。特に重要なのが「パネルの清掃」です。

 

3-① パネルの汚れは「損失」そのもの

太陽光パネルは屋外に設置されるため、常に過酷な環境に晒されています。

鳥のフン、黄砂、花粉、落ち葉、工場の排煙などがパネル表面に付着・堆積すると、太陽光が遮られ、発電効率が低下します。

単に汚れるだけでなく、一部に影ができることでその部分が発熱する「ホットスポット現象」を引き起こし、最悪の場合はパネルの焼損や火災の原因にもなり得ます。

 

3-② 設置環境に応じたメンテナンス計画

 清掃の頻度や重要性は、設置場所の環境特性によって大きく異なります。

 

【工業地帯・幹線道路沿い】

工場からの煤煙、トラックの排気ガスに含まれる油分を含んだ粉塵がパネルに固着しやすい傾向があります。これらは通常の雨では流れ落ちにくいため、定期的な「洗浄」を行わないと、発電効率が5%10%低下したまま稼働し続けることになります。

 

【沿岸部】

潮風による「塩害」のリスクがあります。架台のサビや機器の腐食進行が早まるため、防錆処理の点検や、塩分を洗い流すための洗浄頻度を高める必要があります。

 

【樹木が多い地域】

落ち葉の堆積や、雑草の影が問題になります。特に野立て設置の場合は、除草作業(草刈り)が最大のメンテナンスコストになることもあります。

 

 

3-③ 清掃費用の目安と費用対効果

専門業者によるパネル洗浄費用は、足場の有無、屋根の形状、水道設備の状況によりますが、年間数万円〜数十万円を見込むのが一般的です。

「洗浄代がもったいない」と思われるかもしれませんが、費用対効果で考える必要があります。

例えば、年間電気代削減額が300万円の工場で、汚れにより10%の発電ロスが出れば30万円の損失です。洗浄費が15万円であれば、十分にペイできる(元が取れる)計算になります。定期的な清掃は、コストではなく「投資」と捉えるべきでしょう。

 

4.最大の出費項目「PCS交換」と長期修繕計画

ランニングコストの中で最も高額で、かつ事業期間中にほぼ確実に発生するのがパワーコンディショナ(PCS)の交換費用です。

 

4-① パネルとPCSの寿命のギャップ

太陽光発電システムを構成する機器には、寿命に大きな差があります。

太陽光パネル:25年〜30年以上

PCS(パワーコンディショナ):10年〜15年程度 

つまり、太陽光発電事業を行う20年〜30年の期間中に、必ず1回〜2回はPCSの交換時期が訪れることになります。

 

4- PCS交換費用の相場と構造 

PCSの交換には、単なる機器代金だけでなく、以下の費用が発生します。

・機器本体価格

  • ・既存機器の撤去・廃棄処分費
  • ・新規機器の設置工事費・電気配線工事費
  • ・設定調整・試運転費

 

 PCS交換費用の目安(工事費込)】

※昨今の半導体不足や物価高騰により、機器価格は変動する可能性があります。また、設置当初のメーカーが生産終了している場合、他メーカーへの載せ替えに伴う追加工事が発生することもあります。

 

4-③ 予備費の積立と保証延長の検討

導入当初の収支シミュレーションにおいて、10年後・15年後のPCS交換費用を織り込んでいないケースが散見されます。いざ故障した際に「数百万円の出費が必要」となると、経営計画に大きな狂いが生じます。

 

対策:積立を行う

年間の電気代削減メリットの一部を、利益として計上するのではなく、将来の修繕費(修繕引当金のような形)としてプールしておくことが重要です。

 

対策:長期保証への加入

標準保証は10年が多いですが、メーカーによっては有償で15年・20年保証を用意しています。初期費用は若干上がりますが、将来の突発的な出費リスクをヘッジ(回避)し、コストを平準化できるため、推奨されます。

 

5.シミュレーションの精度が「真のコスト削減」を決める 

ここまでランニングコストについて解説してきましたが、自家消費型太陽光発電の導入可否を決める最大のポイントは、「ランニングコストを差し引いても、十分な電気代削減メリットが出るか?」という点に尽きます。

 

5-① 「どんぶり勘定」は失敗のもと

よくある失敗例として、「年間の電気代総額」だけでざっくり計算してしまうケースがあります。

しかし、自家消費型で重要なのは、「30分ごとの電力消費データ(デマンドデータ)」と「発電予測」のマッチングです。

・工場が稼働していない休日(発電しても使いきれない電気)はどうするか?

  • ・朝夕の発電量が少ない時間帯の電力需要はどうか?
  • ・季節変動(空調の使用量など)は加味されているか?

これらを精緻に計算しなければ、正確な削減額は見えません。「思ったより安くならなかった」という原因の多くは、このシミュレーション不足にあります。

 

5-② 気象データと需要曲線の重ね合わせ

シミュレーションには、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)や気象庁が公開している、設置地点の過去数十年分の日射量データベースを使用します。

日本国内でも地域によって日射量は大きく異なります。設置場所の緯度経度に基づいた正確なデータが必要です。

カネザワでは、お客様からいただいた過去1年分のデマンドデータを基に、以下の要素を全て加味した「実質削減額」を算出します。

 

6.コストを最小化し、安心を最大化する「遠隔監視・保険」

最後に、日々の運用負担を減らし、不測の事態に備えるためのツールについて解説します。

 

6-① 遠隔監視システムで「見えないコスト」を削減 

屋根の上にある太陽光パネルの異常を目視で発見するのは困難です。また、毎日担当者が屋根に登って点検するのは、安全面でもコスト面でも現実的ではありません。

そこで必須となるのが「遠隔監視システム」です。

 

リアルタイム監視:スマホやPCで、いつでも発電状況を確認

アラート機能:PCSの停止や発電量の大幅な低下を検知し、メール等で通知

コスト削減効果:異常発生時に即座に対応できるため、発電停止による「機会損失」を最小限に抑えられる

 

6-② 自然災害に備える「保険」の選び方

近年、大型台風やゲリラ豪雨、降雹(ひょう)災害が増加しています。太陽光パネルの飛散や水没に備える保険は必須です。

企業総合保険(火災保険):火災、落雷、風災、雪災などをカバー

施設賠償責任保険:強風で飛んだパネルが隣の建物や車を傷つけた場合、あるいは通行人に怪我を負わせた場合の賠償をカバー

休業損害補償:設備が壊れて電気が使えず、工場の操業が止まった場合の利益を補償します。

これらの保険料もランニングコストの一部ですが、災害時の事業存続(BCP対策)を考えれば、決して高い買い物ではありません。多くの施工店では、初年度または10年間の自然災害補償をパッケージに含めている場合がありますので、見積もり時に必ず確認しましょう。

 

自家消費型太陽光導入は、トータルコストの把握から

 自家消費型太陽光発電は、企業の電気代削減と脱炭素経営(SDGsRE100)を同時に実現する設備です。

「設置して終わり」ではなく、長期安定稼働のためには、以下のポイントを押さえた計画が必要です。

 

1.売電型より運用はシンプルだが、維持費はゼロではない。

2. 50kW以上の設備には電気主任技術者等の法的コストがかかる。

3. 設置環境(粉塵・塩害・植生)に合わせたメンテナンス計画が必須。

4. 10年〜15年後のPCS交換費用をあらかじめ計画に組み込む。

5. これらを全て加味した「精緻なシミュレーション」が成功の条件。

 

「自社の屋根だと、具体的にどれくらいの維持費がかかり、最終的にいくら得をするのか?」

まずは無料のシミュレーションで、貴社のポテンシャルを可視化してみませんか?

ぜひお気軽にご相談ください。

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