【PRI・CDP・NGFS・IFRS・GFANZ・気候変動オペレーション】知っておくべき金融機関の脱炭素化に向けた動きとは?

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【PRI・CDP・NGFS・IFRS・GFANZ・気候変動オペレーション】知っておくべき金融機関の脱炭素化に向けた動きとは?

脱炭素ブログ

2022/07/25 【PRI・CDP・NGFS・IFRS・GFANZ・気候変動オペレーション】知っておくべき金融機関の脱炭素化に向けた動きとは?

皆様こんにちは!株式会社カネザワです。

2050年カーボンニュートラル達成に向け、金融領域について、脱炭素化する企業を評価するイニシアティブや、そのための原則・仕組づくりが発展しています。

 

本日は、国際的なイニシアティブである、PRI・CDP・IFRSによる非財務情報開示基準の策定・GFANZや、金融当局が関心を寄せているNGFS・日銀の気候変動オペレーションについて、それぞれ解説します。

 

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PRI

設立年 2006年
設立者 コフィ・アナン国連事務総長(当時)
目的 環境、社会およびガバナンスの問題に対する投資の影響を把握し、署名機関がこれらの問題を投資の 決定や株主としての決定に統合することを支援する

 

 

責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)とは、2006年にコフィ・アナン国連事務総長の提唱により打ち出された投資に対する原則のことです。

 

その内容は、投資家に対して、企業の分析や評価を行う上で長期的な視点を持ち、ESG(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)情報を考慮した投資行動をとることを求めるものです。

 

ESGに関する課題を、投資の際の意思決定に組み込むことで、企業の行動も、持続可能な方向へと促進されることを目的としています。

 

具体的に、PRIは以下の6つの責任原則を実施することを促しています。
1. 投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込む
2. 活動的な株式所有者になり、株式の所有方針と所有慣習にESG問題を組み入れる
3. 投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求める
4. 資産運用業界において原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行う
5. 原則を実行する際の効果を高めるために、協働する
6. 原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告する

 

投資家にとっても、ESG要因を満たした経営を行っている企業に投資をすることで長期的に安定したリターンを受け取るなどのメリットが発生します。

 

2022年6月3日時点で世界では4,979社、日本では117社が署名しています。

 

PRIの署名機関になるには、報告義務と年会費という2つの要件を満たす必要があります。

 

報告義務については、毎年、PRI のフレームワークに従って活動報告をする必要があります。

 

会費については、運用資産の額に応じて額が設定されています。

 

PRIの署名機関に実際に加入するには以下5つのステップを踏みましょう。
①PRIのサイトより宣言書をダウンロードし、組織の代表が署名する
②組織の連絡先情報や署名する理由などを、申請書に記載・提出する
③組織図を提出する
④PRIからの仮承認を受ける
⑤請求書の送付

 

CDP

設立年 2000年
設立 テッサ・テナント現CDP顧問
ジェレミー・スミス現CDP評議会委員
ポール・デッキソン現CDP議長
ポール・シンプソン現CDP・CEOら有志
目的 人々と地球にとって、健全で豊かな経済を保つ

 

CDPとは世界の企業の気候変動への取組などの環境活動に関する情報を収集し、その情報を機関投資家らに開示している非営利団体です。

 

発足当初、二酸化炭素の排出量削減や気候変動に重点を置いており、「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」の頭文字を取ってCDPという略称で知られるようになりました。

 

CDPの主な活動内容は、企業がどれだけ環境活動において高いパフォーマンスを発揮しているか評価することです。

 

一年に一度、対象となる企業に対して質問書を送付し、そして企業の回答を集計し分析します。

 

質問書は、現在「気候変動」「森林」「水」の3つに分けられています。

 

それぞれの質問書で、企業の環境活動をAからD‐までの8段階に分けて評価を行い、
最も優れたパフォーマンスをした企業を最高評価のAリストに選出します。

 

2021年日本企業は427社が気候変動質問書に回答しており、そのうち56社がAリストに選出されています。

 

日本は世界で最も気候変動Aリストに選出された国となっており、企業の環境活動において世界でも存在感を放っています。

 

CDPの質問に回答するには回答事務費用が発生します。
特典に応じて費用が3段階に分かれており、いずれも税抜きで最も安いものから9万7,500円、27万2,500円、65万円となっています。

 

参考

 

GFANZ

設立年 2021年
設立 英イングランド銀行前総裁マーク・カーニー
目的 2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする

 

 

 

GFANZは「ネットゼロのためのグラスゴー金融連合(Glasgow Financial Alliance for Net-Zero)」の略称です。

 

GFANZとは2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す金融機関の融資連合です。

 

※ネットゼロとは温室効果ガスの排出が実質ゼロになることを意味しています。

 

現在、45カ国450以上の会員企業が属しており、世界の民間金融資産のおよそ40%を占めるなど大きな存在感を放っています。

 

GFANZは、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で世界の脱炭素化に向けて100兆ドルのファイナンスを行うことを公表したことで知られています。

 

また、2022年6月8日には、「GFANZ アジア太平洋(APAC)ネットワーク」が設立し、アジア全体でネットゼロを促進させることを表明しました。

 

同ネットワークの責任者には過去に国連環境計画・金融イニシアチブでアジア太平洋地域を担当した安井友紀氏が就任しています。

 

それに伴い、GFANZは国内でより一層存在感を増すことが予想されます。

 

GFANZには日本では約20社が参加しておりアジアの中では影響力がある組織となっています。

 

NGFS

 

設立年 2017年
設立 オランダ中央銀行フランソワヴィルロイデガルハウ
目的 NGFSのメンバーシップの内外で実施されるベストプラクティスの開発を定義、促進、貢献し、グリーンファイナンスに関する分析作業を実施または委託する

 

 

 

NGFSは「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク」(Network for Greening the Financial System)の略称です。

 

各国の中央銀行や金融監督当局が参加しており、世界の気候変動に関するトピックを国を跨いで議論するネットワークとなっており、金融市場の安定やリスク管理を行っています。

 

2021年には2度目となる気候シナリオを公表しており、主に2050年に向けた脱炭素化について議論されています。

 

日本において、「2050年カーボンニュートラル」は大きな目標の一つとなっており、
NGFSのシナリオは日本とっても影響力のあるものの一つと言えます。

 

2022年時点でNGFSは全世界で116のメンバーと19人のオブザーバーで構成されており、
日本では金融庁と日銀が参加を表明しています。

 

参考

日銀の気候変動オペレーション

設立年 2021年
設立 日銀
目的
民間における気候変動対応を支援するため、我が国の気候変動対応に資する投融資の残高の範囲内で行う資金供給オペレーション

 

 

 

日本銀行による気候変動オペレーションとは、気候変動対応する民間銀行に対して日銀が貸付利率0%で長期資金を提供する仕組みです。

 

貸付期間は原則一年となっていますが、新たな貸付を行うことによって長期的に資金調達することができます。

 

対象となる投融資先は以下のようになっています。
①グリーンローン
②グリーンボンド(サステナビリティボンドを含む)
③サステナビリティ・リンク・ローン(気候変動対応に紐づく評価指標が設定されているものに限る)
④サステナビリティ・リンク・ボンド(気候変動対応に紐づく評価指標が設定されているものに限る)
⑤トランジション・ファイナンス
貸付の対象先となるには十分な情報開示が必要となります。

 

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言する4項目に沿って報告する必要があります。

 

ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つ、さらに気候変動対策に関する投融資の目標と実績について報告する必要があります。

 

初回となる対象先は全347機関の内43機関であり、全体の12%という結果となりました。

 

この制度によって脱炭素化を図る企業の資金調達の手助けとなることが期待されています。

 

 

IFRS

設立年 1970年代
設立 国際会計基準審議会
目的
NGFSのメンバーシップの内外で実施されるベストプラクティスの開発を定義、促進、貢献し、グリーンファイナンスに関する分析作業を実施または委託する

 

 

IFRSとは国際財務報告基準(Intenational Financial Reporting Standards)の略称で、会計基準の一つです。

 

IFRSの特徴は大きく3つあります。

 

①原則主義
IFRSは、具体的な判断基準や会計処理方法は記載されておらず、根本的な考え方となる原理や原則のみが記載されています。企業はIFRSの記載事項をしっかりと把握し、会計方針を作る必要があります。

 

②資産負債アプローチ
資産負債アプローチとはその期のはじめと終わりの資産や負債の増減によって利益を算出する考え方です。そのためIFRSではBS(貸借対照表)が重視されています。

 

③国際基準
IFRSにおける基本言語を英語に設定しています。各国の税制などを考慮せずに定められているため、解釈の不一致が行われないようになっています。

 

この度IFRSは、企業の気候変動リスクに関する情報開示の基準案を公表し、業種ごとに重要な気候リスクや対策の開示内容を細かく示しました。

 

特徴として、サプライチェーン全体を含めた温暖化ガス排出量の開示を求めるなど、数値情報を重視することになりました。

 

新たな基準案は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に沿ったものとなっています。

 

新基準案は重要な数値情報を業種別に定めており、例えば自動車ではハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の販売台数などです。

 

まとめ

日本を含めた世界中の金融界で脱炭素に向けた活動が活発に行われています。

 

金融界で脱炭素に関する動きが活発になることによって、民間企業が融資を受ける際にどれだけ環境活動に力を入れて取り組んでいるかが重要な指標となることが考えられます。

 

投資家だけでなくその地域の人々や環境を含めたステークホルダーに対して、いかに環境に配慮した企業経営が行われているのかが企業を評価するポイントになります。

 

日本においても、2050年のカーボンニュートラル達成には民間企業、ないしは中小企業の協力が必須要件となります。

 

現状企業の脱炭素に取り組めていない企業も、いずれ国や金融界から環境活動の促進を迫られる可能性が高いです。

 

企業の脱炭素化については、まず弊社にご相談ください!

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

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